マサトです。
相続財産は、遺言書があればその内容通りに分配されます。
遺言書がなければ、法定相続分に従って分けることになりますよね。
では、遺言書もなく相続人が一人もいない場合、相続財産はどうなるでしょうか?
最終的には、国に帰属することになります。
しかし、もし内縁の妻がいた場合や生前被相続人の身の回りの世話をしていた人がいた場合には、その人たちに相続財産を与えたほうが、被相続人の意思に合致しますよね?
それが、特別縁故者の制度です。
本日は、特別縁故者についてお話しします。
「特別縁故者の制度ってどんなもの?」
「特別縁故者になれるのはどんな人ですか?」
特別縁故者の制度は民法に規定されており、その範囲も決まっています。
ただ、何もせずに勝手に特別縁故者と認められるわけではありません。
手続を経て、特別縁故者だと認められないと、財産を得ることはできないのです。
では、特別縁故者の範囲はどこまでなのか、どのように手続を行うのか、以下でご説明していきます。
特別縁故者は被相続人の意思を尊重した制度

特別縁故者というのは、どんな制度なんですか?

被相続人の意思を尊重するための制度、と言っていいでしょう。
遺言書があれば、被相続人の意思は遺言書にすべて記載されています。
しかし、急に亡くなってしまった場合には、遺言書を作成することはできませんよね?
そんな時、内縁の妻などがいたらどうでしょう。
相続人が誰もいないからといって、長年連れ添った内縁の妻が1円も相続できずに、国に相続財産を持っていかれては納得できないでしょう。
被相続人だって、内縁の妻に相続財産を渡したかった可能性が高いはずです。
そういった被相続人の意思を尊重するために、特別縁故者の制度が存在します。
特別縁故者の範囲は3つの類型に分けられる

特別縁故者には、どんな人がなれるんですか?

民法に規定があり、大きく3つの類型があります。
特別縁故者の制度は、民法に規定があります。
以下の3つの類型です。
ただ、最終的な判断は家庭裁判所が行います。
被相続人と生計を共にしていた者
簡単に言えば、一緒に住んでいた人です。
内縁の妻などが、代表的な例です。
あとは、縁組していない養子などですね。
被相続人の生活のために、金銭の支出をしていたということもありますので、特別縁故者となりえます。
被相続人の療養看護をしていた者
生前、被相続人の療養看護などをしていた人です。
例えば、被相続人の息子の嫁などですね。
息子が既に亡くなっている場合、嫁は相続人ではありません。
しかし、私生活を犠牲にして被相続人の療養看護などをしていたのであれば、特別縁故者となりえるのです。
なお、介護士などお金をもらって療養看護などをしていた者は、原則対象となりせん。
その他被相続人と特別の縁故があった者
上記以外の場合で、上記と同じくらい被相続人との関係が密接した関係であった場合には、特別縁故者と認められる可能性があります。
例えば、生前被相続人の身元保証人だった場合などです。
個別具体的な判断となるため、特別縁故者と認められるのかは家庭裁判所の判断次第です。
特別縁故者となるには家庭裁判所への申立が必要

特別縁故者と認められるためには、どうしたいいんですか?

家庭裁判所への申立が必要になります。
まずは、相続財産管理人選任の申立を行います。
相続人がいないことが特別縁故者の前提ですので、相続人がいないというこを確定するために、相続財産管理人選任の申立が必要となるのです。
その手続の中で、相続人として誰も名乗りをあげてこなかった場合に、特別縁故者の申立を行います。
誰も名乗りをあげてこないことが確定してから、3か月以内という期限があります。
そして、家庭裁判所が特別縁故者として認めれば、相続財産の全部または一部を得ることできるのです。
相続財産管理人選任の申立について詳しく知りたい方は、こちらの記事をお読みください。
まとめ
特別縁故者は、相続人全員が相続放棄をした場合にも発生しえます。
ただ、その場合は相続財産がマイナスになっている場合がほとんどなので、特別縁故者が問題となることはないでしょう。
よくあるのは、内縁の妻の場合です。
特別縁故者となるためには手続が必要なので、そこだけ注意をしてください。