マサトです。
過払い案件の件数は、年々下降していっていますが、まだまだ相当数あります。
そして、時間が経つにつれて時効の問題が発生したり、新しい判例が出たりして、回収が難しくなっています。
まあ、それ以前に業者の返還率が渋くなっているということもありますが。
本日は、過払の争点である分断について解説します。
「過払いの分断って、どんなもの?」
「分断があると、過払いの回収が難しくなるの?」
過払いに分断があると、確かに回収は難しくなります。
とはいえ、分断があるとなんでもかんでも難しくなるわけではありません。
また、そもそも最終的な結論は最高裁まで争わないとわからないものです。
本日は、あくまでも任意交渉の場面で分断がどのように影響するのかをご説明します。
過払い金回収の、参考にしていただければと思います。
過払いの争点とは

争点ってなんですか?

法的な意見がぶつかる点という意味です。
過払いの争点とは、その名の通り争う点です。
つまり、お互いの主張がぶつかり、法的な解釈が絡んでくる部分になります。
争点があると、当然交渉が難航します。
話がつかなければ、裁判上で争うこととなります。
争点には様々なものがありますが、今回は分断について解説します。
過払いについて知りたい方は、こちらの記事をお読みください。
過払いの分断とは

弁護士から、分断があるので回収が難しいかもと言われたのですが、分断ってなんですか?

分断とは、取引が一度途切れているという意味で使われます。
最もポピュラーな過払いの争点です。
あらゆる業者で発生します。
過払いの争点のほとんどは、この分断だといっても過言ではありません。
分断とは、簡単に言えば取引が一度終わっているかどうかということです。
終わっていると判断されれば、それ以降の取引は別の取引となります。
終わってないと判断されれば、取引は続いてるので全体で1つの取引となります。
では、過払いにどんな影響を及ぼすのでしょうか。
過払いの分断の影響

分断があると、過払いにどういった影響があるのですか?

回収金額が、大幅に変わってきます。
分断の影響は、大きく分けて以下の2つになります。
過払いが時効にかかってしまう
別の取引となると、前の取引で一度取引が終わってるということになります。
その最終取引日が10年以上前だと、過払いは時効で消滅してしまうのです。
つまり、最初の取引で過払いが数百万円出ていても、分断だと判断されると1円も回収できないということになります。
もし、1つの取引だと判断されれば、取引は継続しているので時効にはかかりません。
分断かどうかで、過払いの回収金額が数百万円も違ってくるということですね。
過払いの金額が少なくなる
過払いの金額は、債務が残っている期間が短く、過払いになっている期間が長いほど、高くなります。
なぜなら、債務にも過払いにも利息が付くからです。
例えば、最初の取引を完済した時点で50万円の過払いが発生していたとします。
そして、次の取引が始まった時に、20万円を借り入れたとしますね。
取引が続いてると、20万円を借りたときに既に50万円の過払いが発生しているので、マイナス30万円、つまり過払いから取引がスタートします。
しかし、取引が終わっている場合は、20万円の債務からスタートです。
スタートの時点で、50万円もの差が出てしまうのです。
過払いの利息は5%、債務はこの場合18%になります。
取引期間が長いと、この差が非常に大きな影響を及ぼすことになるのです。
それこそ、数百万円の差が出ることもあります。
過払いが分断かどうかの判断基準

分断かどうかは、どのように判断されるのですか?

判断基準はいくつかあり、全てを総合的に考慮して判断されます。
分断かどうかの判断基準は、最高裁の判例で明示されています。
難しくなってしまうので、簡単に説明させていただきます。
判例では、以下のような項目を判断基準としています。
- 最初の取引期間の長さがどれくらいなのか
- 最初の取引と次の取引の空白期間がどれくらいなのか
- 次の取引の際に契約をし直しているか
- 最初の取引の際の契約書を返還しているか
- 次の取引の契約をした際にカードを再発行しているか
- 次の取引の契約をした際に最初の取引の契約を解約しているか
- 最初の取引と次の取引の間で貸主と借主の接触がどれくらいあったか
- 次の取引の契約をするに至った経緯
ざっと、このような内容になっています。
これを総合的に考慮して、分断かどうかを判断するのです。
そして、最終的な判断ができるのは裁判所だけとなっています。
つまり、裁判で最高裁まで争わないと、最終的な結論は出ないということです。
そのような時間もお金もかかることを、依頼者も業者も望まないことがほとんどなので、多くの案件が任意の話し合いで解決されているのです。
では、実際の実務ではどのような取扱いになっているのでしょうか。
実務で分断と判断されるケース

実際には、どのようなときに分断と判断されますか?

一概には言えませんが、4つのケースに該当する場合は分断と判断されることが多いです。
まず、前提として以下に記載するのは、あくまでも参考に留めておいてください。
なぜなら、上記に記載した通り分断についての任意での交渉は正解がないからです。
法律事務所によって考え方が違うし、弁護士によっても異なります。
業者によっても、全く変わってきます。
数千件の過払いを和解してきた一パラリーガルの意見として、受け取ってください。
契約を解約している
解約があると、基本的に分断とみなされることが多いです。
解約しているということは、そこで取引が一旦完了していると判断されます。
契約書の返還も受けていることが多いし、カードも使えなくなっていることが多いです。
そうなると、取引が継続しているとは言えず、分断があるということになります。
契約をし直している
契約をし直していると、分断とみなされることが多いです。
基本契約が同じであることが、取引が継続しているかの判断の1つだからです。
ただ、貸付条件が変わっていない、契約書の返還がない、カードの再発行がないなど、総合的に判断されます。
契約をし直しているからといって、絶対に分断だと判断されるわけではありません。
期間が1年以上空いている
1年以上の空白期間があると、分断とみなされることが多いです。
ただ、契約し直しているわけでもなく、利率などの貸付条件にも変更がなければ、継続した取引と判断されるケースもあります。
1年くらいの空白期間であれば、総合的に考慮して判断されますね。
期間が3年以上空いている
3年以上の空白期間があると、かなり難しくなります。
そこまで空いていると、借主側も一旦取引が終わっていると思っているのではないかと判断されてもしかたないですよね。
ただ、これも絶対ではありません。
10年以上空いていたら、ほぼ間違いなく無理だと思ったほうがいいでしょう。
上記に該当するケースでも、絶対に分断になるというわけではありません。
あくまでも、総合的に考慮した上で判断されます。
なので、上記に該当するようなケースであっても、諦めずにまずは専門家に相談してください。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
過払いの分断というのは、一筋縄ではいきません。
裁判で争って結論を出さない以上、お互いに主張をして納得するしかないのです。
正解がない以上、仕方ありません。
したがって、それぞれの法律事務所の姿勢や考え方によって、結論が大きく変わってくるのです。
例えば、1年の空白期間があったらダメだと判断する事務所もあれば、1年なら分断ではないと判断する事務所もあります。
もちろん、それだけで判断せずに、細かい部分も考慮した上ででしょう。
過払いを法律事務所に依頼する場合は、過払の実績がある事務所に依頼するようにしてください。
経験や実績で回収額が変わってきますので。
今すぐに実績のある事務所に依頼したいという方は、こちらの記事をお読みください。