マサトです。
新型コロナの影響で債務整理の問い合わせが増える中、多いのはやはり任意整理についてです。
いきなり自己破産は勇気がいるし、個人再生は内容がよくわからない。
とりあえず、手軽に済みそうな任意整理ならできそうだ。
そのように考えて、相談に来られる方もいます。
その考えは、確かに当たっているのです。
任意整理は、債権者と話し合いで解決する方法です。
ある程度の交渉は発生しますが、あくまでも迅速な和解をして、早く返済してほしいということを、業者側も思っています。
なので、話し合いがこじれてものすごい時間がかかるというのは、非常に稀なケースで、ほとんどの場合スムーズに進んでいきます。
とはいえ、専門的な知識も必要になりますし、債権数が多いと難易度も上がります。
「任意整理って簡単なの?」
「任意整理って具体的にどんな手続かを知りたい。」
本日は、そういった疑問をお持ちの方に、任意整理が実際にどのような流れで進むのかについて、解説します。
任意整理とは

任意整理って債権者と揉めずにスムーズに進むの?

原則、債権者と揉めることはありません。あくまでも、早期に解決することがお互いの目的です。
任意整理とは、債権者に返済計画を提案し、話し合いで解決する方法です。
手軽に利用できる手続ではありますが、踏まなければならないステップは存在します。
以下、そのステップについてご説明します。
任意整理のメリットや費用について知りたい方は、こちらの記事をお読みください。
【任意整理の手続の流れ①】原資の確認

任意整理はどんな流れで進んでいくの?

まずは、毎月返済にいくらを充てることができるのか、原資を確認させてもらいます。
債権調査をして、債務額を確定するまではどの手続も変わらない流れとなります。
債権調査までの流れを知りたい方は、こちらの記事をお読みください。
家計収支の確認
債務額が確定したら、だいたい月の返済額がいくらくらいになるのかを、専門家のほうで試算します。
その上で、依頼者の方がいくらの原資を用意できるのかを確認します。
そのためには、毎月いくらの収入があって、いくらの支出があるのか、家計収支を聞き取る必要があるのです。
面談時にも確認しますが、債務額が確定した時に変わりがないのかを確認するという意味でも、このタイミングでもう一度聞き取ります。
ちゃんと、任意整理して支払っていけるかの確認なので、正直に答えましょう。
積立金の確認
面談時にだいたいの返済予定額を決めて、その金額を積み立ててもらうのが通常の流れです。
専門家の費用の分割という意味もありますが、実際にその金額を継続して支払っていけるのかという、履行テストの意味もあります。
積立金を確認して、毎月しっかりと支払いができていれば、その金額は今後も支払っていくことができると推測できます。
しかし、毎回支払いが遅れる、月によって不足があるといったことになれば、その金額を支払っていくことはできないと判断されます。
その場合、原資を下げて進められるのかを検討し、無理であれば任意整理から自己破産や個人再生に方針を変更する必要が出てきます。
【任意整理の手続の流れ②】返済計画と提案書の作成

原資に問題がなければ、手続はそのまま進んでいくんですか?

はい。原資に問題がないことがわかったら、返済計画と提案書を作成して業者に提案をします。
原資が固まれば、次にその原資をどう使うのかを考えます。
任意整理を依頼したのが1社だけであれば、もちろんその原資をすべてその1社に使うだけです。
しかし、10社あったとしたら、それぞれにいくら支払うのかを考えなくてはなりません。
この作業には、ある程度の経験が必要になるのです。
原資の振分
一般的には、債権者平等の原則から、債権額に応じて原資を配分します。
例えば、A社の債権額が100万円、B社の債権額が50万で原資が3万円なら、A社に2万円、B社に1万円ずつ返済するというかたちです。
しかし、任意整理する業者が10社あったら中々そう簡単にはいきません。
もしかしたら、そのうちの1社は10万円しかなく、債権額に応じて配分したら毎月1500円にしかならないとします。
たいていの業者は、最低でも3000円は毎月の返済に充てなくてはならないので、その時点で平等ではなくなるのです。
この業者の場合は利息がこのくらい付くから、この業者は長くてもこの回数だから、というように知識をフル活用して返済計画を考える必要があるのです。
任意整理で、もっとも時間をかけるポイントです。
提案書の作成
原資を振り分けることができたら、その内容を提案書にします。
総額と、毎月の支払額、いつから支払うのかを記載して、業者に提案書を送ります。
返済計画さえできれば、その内容を提案書にするだけなので、作成自体にはそこまで時間はかかりません。
【任意整理の手続の流れ③】債権者との交渉

債権者との話し合いは、どんなことを話すんですか?

基本的には、総額と回数についてです。その根拠として、収支などを開示したりします。
提案書を送ると、債権者から回答がきます。
昔は、提案した内容でそのまま通ることが多かったですが、今はまず通りません。
もちろん、業者によるのですが、ほとんどの業者は提案内容にたいして対案を出してきます。
話し合いの内容は、以下のようなものになります。
経過利息
いわゆる利息です。
最後に返済、もしくは借り入れをしてから和解するまでは時間がかかります。
その間の利息について、債権者は主張してくるのです。
例えば、専門家が介入した時まで、提案書を送った時まで、和解した時までの利息をつけるというかたちです。
この経過利息については、カットするのは難しいです。
なので、利息が付いて総額が増えるという前提で、原資を想定し返済計画を作成します。
返済回数
通常は、60回の分割、5年で返済する内容で提案することが多いです。
しかし、債権者によっては36回が上限になっていたりします。
また、取引期間が短いと長期での返済回数を組むことが難しくなったりします。
債権者によっては、一括での返済や頭金の支払いを求められることもあります。
そういったことも想定して、事前に返済計画を作成します。
情報開示
任意整理で和解をするにあたり、勤務先や電話番号、家計収支を求められることがあります。
こちらも、原則開示しなくてはなりません。
借入をする時と同様に考えていただくと、わかるかと思います。
借入をした時に、勤務先や収入、個人情報を開示するかと思いますが、それと同様に和解時にも情報開示が求められます。
特に、家計収支に関しては、ちゃんと返済できるのかを証明するという意味でも、ほとんどの業者で確認されます。
将来利息
ほとんどの業者は求めてきませんが、たまに求められることがあります。
将来利息とは、和解後も利息を付加されることです。
わかりやすく言えば、今まで借りてた時と同じ状況です。
なので、専門家に任意整理を依頼した意味がないということになります。
ただ、もし将来利息を主張されるとしても、今まで15%だったのを5%にするなど、利率を下げてくれることが多いです。
そういう意味では、全く意味がないということはありません。
将来利息を主張されるのは稀なので、あまり気にしなくても問題ないです。
上記の項目について話し合いを行い、まとまれば和解となります。
【任意整理の手続の流れ④】支払い開始

支払はいつから開始されるんですか?自分で支払いを行うんですか?

依頼した専門家によって、支払方法は変わってきます。開始は、だいたい和解から2か月後になります。
和解が完了すると、いよいよ返済が開始となります。
通常は、和解から2か月後に初回の返済となることが多いです。
では、返済方法はどうなっているのでしょうか。
大きく分けると、以下の3つになります。
初回から完済まで自分で支払う
最初から最後まで自分で支払うという方法です。
毎月、指定された債権者の口座に振り込みをして、返済していきます。
専門家に代行してもらうと、代行手数料が発生します。
だいたい、1社1回につき1000円くらいです。
債権の数が多い場合は、結構な費用がかかってしまうので、ご自身で返済されたほうが安く済みます。
リスクとしては、返済を忘れてしまうことです。
管理をしっかりと行い、毎月の返済を忘れないようにすることが大切です。
特に、初回の支払いを忘れると、和解が流れてしまうかもしれません。
初回だけ専門家に代行してもらい、2回目から自分で支払う
上記でもお伝えしましたが、初回の支払いは非常に重要です。
なので、初回の支払いだけ専門家に代行してもらい、2回目からご自身で返済するという方法もあります。
手数料が1回分かかってしまいますが、初回の返済を忘れてしまうというリスクがないので、安心できる方法です。
最初から最後まで専門家に代行してもらう
最初から最後まで、ずっと代行してもらう方法です。
返済を忘れるということはまずありませんので、そういったリスクはありません。
また、自分で毎月振り込みをしなくてもいいので、手間がかかりません。
ただ、毎月代行手数料がかかります。
債権者数が多いとかなりの金額になるので、総合的に考えて判断してください。
以上、3つの返済方法があります。
任意整理を依頼する専門家によって、対応が変わります。
代行を全くやっていないところもあれば、代行しかやっていないところもあります。
面談時に説明があるはずなので、確認漏れがないようにしてください。
これで、任意整理の手続は終了となります。
まとめ/任意整理の経験が豊富な専門家に相談する
いかがでしたでしょうか。
任意整理は、確かに手軽にできる手続ではあります。
しかし、お客様の状況によって全く結論が異なってきます。
最悪、どの債権者とも和解できませんということもありえるのです。
専門家の経験によっても結論が変わってきますので、依頼するときは実績のある事務所を選ぶようにしましょう。
今すぐに失敗しない任意整理を依頼したい方は、こちらの記事をお読みください。